はじめに
Microsoft Office Specialist(MOS)のWord試験は、Wordの操作スキルを証明する資格ですが、言語学の視点から分析すると、新たな気づきが得られます。特に、リボン・タブ・アイコンの表現、設問文の表現に注目してみてみましょう。
1. リボン・タブ・アイコンの言語学的分析
(1) 記号論(Semiotics)から見るアイコンの役割
Wordのリボンには、**「B(太字)」や「U(下線)」**などのアイコンがあり、ユーザーが直感的に理解できるように設計されています。記号論では、記号を以下の3つに分類します。
分類 | 例(Wordのリボン) | 特徴 |
---|---|---|
アイコン(Icon) | B(太字)、U(下線) | 見た目から機能が分かる記号 |
インデックス(Index) | 赤い波線(スペルミス) | 何かを示す指標としての役割 |
シンボル(Symbol) | 保存ボタン(フロッピーディスク) | 規約的に意味を持つ記号 |
💡 リボンのアイコンは「アイコン型の記号」が多く、視覚的に機能を伝える役割を持っています。
(2) リボンとタブのラベルの言語的特徴
リボンのタブやボタンのラベルには、主に名詞が使われています。これは、マウス操作が前提のUI(ユーザーインターフェース)設計では、「動作」よりも「機能」を重視するためです。
要素 | 例 | 言語的特徴 |
タブ名 | ホーム、挿入、デザイン | 名詞のみ(全体の機能を示す) |
ボタン | 太字、下線、配置 | 名詞中心(具体的な機能を示す) |
なぜ「動詞」ではなく「名詞」が使われるのか?
- 名詞は「機能」を明示的に表せる → ユーザーが「何ができるのか」を瞬時に理解しやすい
- マウス操作が前提 → 「選択するだけで機能を実行できる」ので、動詞(例:「太くする」「下線を引く」)よりも名詞(例:「太字」「下線」)が適している
ただし、一部には「削除(Delete)」「変換(Convert)」のように動詞由来の表現も含まれる。英語のリボンでは「Print(印刷)」「Save(保存)」などの動詞が直接使われることもある。
💡 リボンのラベルは「何ができるか」を伝えるため、基本的に名詞が使われているが、一部動詞の形をとるものもある。
2. 設問文の表現の特徴
MOSの試験対策で学ぶWordの設問文には、独特な表現が見られます。
- 「〇〇します」の形が統一的に使われる
- 目的語が明示的:「ホームタブ」など、操作対象を省略せず明確に記述。
- ボタン名やメニュー名を「」で囲む:視覚的に識別しやすく、操作の流れが分かりやすい。
- 不要な修飾語を省略:簡潔な表現で、ユーザーが操作に集中できる。
- 「〇〇に、××します。」「〇〇を、××します。」の構文の多用:操作対象とアクションを明確に伝え、誤操作を防ぐ。